今年71本目「12人の怒れる男」

原題:12
監督:ニキータ・ミハルコフ機械じかけのピアノのための未完成の戯曲』『シベリアの理髪師
出演: セルゲイ・マコベツキー、ニキータ・ミハルコフ、セルゲイ・ガルマッシュ
2007年ロシア映画/2時間40分
★★★★★ 5/5 (星5つ!)
公式サイト
http://www.12-movie.com/


screenshot


(物語)
養父を殺害した容疑をかけられた、
チェチェン人の少年の裁判の陪審員として
集まった12人の男性たち。
裁判は証拠もそろい、目撃者も複数いて、
有罪であることは誰の目にもあきらか。
あっという間に有罪が決まって
それぞれの仕事へ戻るはずだったのですが・・・。
シドニー・ルメット監督の名作「十二人の怒れる男」(1957年)を、
ロシア映画界の巨匠ニキータ・ミハルコフがリメイクした作品。


(感想)
2時間40分もの長時間、飽きずに見られるだろうかと
ちょっと不安でしたが、緊張感とともにあっという間でした。
オリジナルのルメット監督の作品は残念ながら未見。
しかし名作故、内容は知っています。
オリジナルの映画を元にした
三谷幸喜さん脚本の「12人の優しい日本人」は、
初演の舞台を見ています。


12人の男性は、おじさんばかり。
仕事に忙しくみんな早くやっかいな陪審を終わらせて帰りたいのです。
最初はそれぞれの職業も、事件の細かい真相もわかりません。
しかし話し合ううちにみな事件のことを真剣に考え、
自分の人生や心うちを語り、事件の真相へ近づいていきます。
陪審員が閉鎖された空間から出られないため、
場面は同じ所のみ。
しかし、チェチェン人の少年のおいたちや戦争のシーンが挿入されて、
事件の深みを増していきます。
両親と幸せに暮らしていた少年の頭上を雨あられと行き交う銃弾。
傍観者ではいられないカメラワークに私も身をかがめていました。
現在のロシアの問題点やチェチェンとの紛争を内容に取り入れ、
すばらしい映画に生まれ変わっていました。
ロシアの名優と言われる俳優さんが勢揃いして、
順取りされた(お話の内容通りに最初から撮影する方法)だけあって、
引き込まれて話の行方にどきどき、はらはら。
見応えのある映画でした。
もうすぐ日本でも始まる裁判員制度
人を裁くと言うことは、非常につらく、
重い責任感が必要だと思いました。